愛車を廃車する場合、廃車証明書を発行しなければいけないケースがあります。しかし、そもそも廃車証明書という言葉を聞いたことがない方が多いのが事実です。
中には廃車証明書がどのようなケースで必要になるのかを理解していない方もいます。そこでこの記事では、廃車証明書の特徴や種類、廃車証明書が必要になるケースを解説します。
記事内では、廃車証明書の特徴に合わせて、廃車証明書の発行手続きや紛失時の再発行手続きについても解説しています。廃車証明書のことを詳しく知りたい方は、是非参考にしてみてください。
廃車証明書とは?
廃車証明書とは、廃車後の自賠責保険や任意保険の解約に必要な書類のことです。しかし、廃車証明書と言っても。1枚の書類しかない訳ではありません。
廃車証明書には、それぞれ異なる役割がある書類が複数あります。
廃車証明書の中でも、それぞれの書類ごとの特徴を把握することで、どんな時に何が必要なのかを理解できるでしょう。
廃車証明書は具体的に3種類ある
廃車証明書は具体的に3種類の書類があります。
- 登録事項等証明書
- 登録識別情報通知書
- 自動車検査証返納証明書
それぞれ詳しく解説します。
登録事項等証明書
登録事項等証明書とは、普通自動車の永久抹消登録の際に必要になる書類のことです。登録事項等証明書には、車の登録情報が記載されており、書類は廃車申請後から5年間保管される仕組みになっています。
また、登録事項等証明書は、廃車後5年以内であれば、再発行も可能な書類です。
登録事項等証明書の再発行を行う際には、お近くの運輸支局もしくは、各自動車検査登録事務所の窓口にて手続きを行うことができます。
登録識別情報通知書
登録識別情報通知書とは、普通自動車の一時抹消登録の際に使用する書類です。登録識別情報通知書を紛失してしまうと、再発行できないため注意しましょう。
登録識別情報通知書が紛失した際には、代わりの書類として「登録識別情報通知書の紛失等に係る新規検査・登録申立書」を提出することで、車の再登録が可能です。
登録識別情報通知書の紛失等に係る新規検査・登録申立書は、警察署に申立てを行うことで申請できる書類です。
自動車検査証返納証明書
自動車検査証返納証明書は、軽自動車が一時抹消されたことを証明する書類です。
自動車検査証返納証明書を紛失すると、再発行できないため注意しましょう。
3ステップ!廃車証明書を発行する際の流れ
廃車証明書を発行する流れは、以下3ステップで手続きを進めていきます。
- ステップ①:申請するために必要な書類を準備する
- ステップ②:最寄りの申請先で発行依頼を行う
- ステップ③:発行された書類を受け取る
それぞれのステップごとの内容を詳しく解説します。
ステップ①:申請するために必要な書類を準備する
廃車証明書の申請を行う際には、発行したい書類に必要な書類を準備することが重要です。発行したい廃車証明書によって用意する書類が異なります。
発行する書類 | 必要な申請書 |
普通自動車の廃車証明書 | 第3号様式の2 |
軽自動車の廃車証明書 | 軽第4号様式の3 |
廃車証明書を発行する際に必要な申請書は、軽自動車検査協会の公式ホームページから無料でダウンロード可能です。
申請書をダウンロードした後は、必要事項を記入しましょう。記入する際には、OCRで読み取るピンク色の枠内を鉛筆で記入します。他の部分はボールペンで記入する形です。
ステップ②:最寄りの申請先で発行依頼を行う
申請書に必要事項を記入した後は、最寄りの申請先で申請書の提出を行います。提出先は、普通自動車の場合、運輸支局、軽自動車の場合には、自動車検査協会で発行申請を依頼します。管轄の所在地は公式WEBサイトで検索可能です。
各WEBサイトでは、管轄情報だけでなく、受付可能時間や休業日の詳細情報が記載されています。
申請先の情報を事前に把握しておくことで、訪問した際のスケジュール調整もしやすくなるでしょう。管轄地域は、愛車のナンバープレートからも確認可能です。
ステップ③:発行された書類を受け取る
申請後は、廃車証明書を受け取りましょう。証明書は、運輸支局や軽自動車検査協会など、申請した窓口にて受け取り可能です。登録識別情報等通知書や自動車検査証返納証明書などは、手続きが完了後、即日書類を受け取り可能です。
登録事項等証明書は、おおよそ「3日〜10日」ほどで発行されます。
ただし、1月〜3月などの多忙期に廃車証明書を発行依頼した場合、受け取りするまでに1ヶ月ほど時間が必要になる可能性が考えられるため、余裕を持った日程調整をおすすめします。
廃車証明書が届くまでの待ち時間には、申請した書類や提出したタイミングによって異なることを覚えておきましょう。
廃車証明書が必要になるケースとは?
廃車証明書が必要になるケースを4つまとめました。
- ケース①:自賠責保険を解約する時
- ケース②:任意保険の等級を次の車に引き継ぎたい時
- ケース③:新しく購入した車に車庫証明が必要にな時
- ケース④:一時抹消した車を再度登録する時
それぞれ詳しく解説します。
ケース①:自賠責保険を解約する時
自賠責保険は、公道を走行する全ての車の所有者が加入を義務付けられる強制保険です。車を廃車した場合には、公道での走行ができなくなる関係上、自賠責保険を解約できる仕組みになっています。
自賠責保険の解約手続きは、現在、契約している保険会社でのみ可能です。
自賠責保険の解約に必要な書類は以下の通りです。
- 廃車証明書
- 保険契約者の確認書類
- 自賠責保険の解約申請書
- 認印
自賠責保険の契約期間が残っている場合、保険料の還付が可能になります。
自賠責保険の未経過分の保険料支払いは、解約手続きと同様、振り込み先の口座情報を伝えることで、入金が行われる仕組みです。
ケース②:任意保険の等級を次の車に引き継ぎたい時
任意保険の解約は、廃車証明書が手元にない状態でも、手続き可能ですが、任意保険を一時的に中断する場合には、廃車証明書が必要になります。
任意保険の中断が必要となる場合としては、別の車に乗り換えるケースです。新しい車の購入を予定している場合、中断手続きを行うことで、現在の等級を引き継いだ状態で次の車への車両入れ替え手続きが行えます。
また、廃車証明書は、中断する理由の証明書としても保険会社から書類の提出を求められる可能性があります。
保険会社によって対応が異なるため、任意保険を一時中断する際には事前確認しておきましょう。
ケース③:新しく購入した車に車庫証明が必要にな時
新しい車を購入した場合、管轄する地域や車を駐車する位置によっては、車庫証明書が必要になる可能性があります。
車庫証明書は、車の名義変更や引っ越しなどで保管場所の変更がある場合に申請する書類です。現在所有している車を廃車にしてから新しく購入した車の保管場所として利用する際にも適切な手続きを行わなければいけません。
注意点は、一時抹消登録後に廃車登録した場合、廃車証明書に追加して抹消謄本のコピー提出が必要になります。
ケース④:一時抹消した車を再度登録する時
一時抹消した車を公道で走行できる状態にするためには、「中古車新規」と呼ばれる手続きが必要です。中古車新規の手続きでは、一時抹消登録手続きの際に交付された登録識別情報等通知書に追加して、以下の書類を準備する必要があります。
- 自賠責保険証明書
- 印鑑証明書
- 実印
- 車庫証明書
- 定期点検記録簿
- 委任状
実印については、印鑑証明書に印字されている印鑑です。また、手続きを第三者に代行依頼する場合には、委任状が必要になります。
中古車新規登録の申請場所は、普通自動車の場合、「運輸支局」、軽自動車の場合、「軽自動車検査協会」です。
廃車証明書が手元にない!書類の再発行方法は?
廃車証明書が手元にない、もしくは書類を紛失した場合の対処方法についての内容を詳しく解説します。以下で紹介する再発行方法は3つです。
- 登録事項証明書の再発行
- 登録識別情報通知書の再登録
- 検査記録事項等証明書の再発行
それぞれ詳しく解説します。
登録事項証明書の再発行
登録事項証明書は、再発行可能な書類です。登録事項証明書を再発行する場合には、廃車手続きを行った際と同様、運輸支局で申請手続きが行えます。登録事項証明書の再発行を行う際には、以下の書類が必要になるため注意しましょう。
- 本人確認資料
- 請求理由書
- 自動車登録番号
- 車体番号
登録事項証明書の再発行条件には「ナンバープレートの番号」と「車体番号の下7桁」が必要です。廃車後に困らないためにも、車検証のコピーを1枚印刷しておくと良いでしょう。
登録識別情報通知書の再登録
登録識別情報通知書は再発行できない書類ですが、「登録識別情報通知書の紛失等に係る新規検査・登録申立書」を代わりの書類として利用可能です。
登録識別情報通知書の紛失等に係る新規検査・登録申立書は、登録事項等証明書の用意の可否によって必要になる書類が異なります。
登録事項等証明書が用意できる場合は以下2つの書類を準備しましょう。
- 譲渡証明書
- 新旧所有者の印鑑証明書
登録事項等証明書の用意が難しい場合には、以下の書類を準備します。
- 車検証のコピーや自動車税付済領収書
- 車体番号の拓本
車体番号は車検証で確認する方法以外にも、エンジンルームや助手席の開口部に刻印されています。メーカーによってフレーム番号が刻印されている部分が異なるため注意が必要です。
検査記録事項等証明書の再発行
検査記録事項証明書を紛失した場合には、再発行が可能です。検査記録事項証明書の再発行を希望する際には、以下の書類を準備しておきましょう。
- 本人の氏名や住所が記載された交付請求書
- 車体番号
- 車両番号
登録事項証明書の再発行では、車体番号の下7桁の数字が必要でしたが、検査記録事項証明書では、ナンバープレートの車両番号を提示する必要があります。
既に廃車手続きを進めてしまった方は、車体番号の確認が難しくなるため、事前に車検証のコピーを用意しておきましょう。
廃車証明書についてよくある質問事項
廃車証明書についてよくある質問事項を以下の通りにまとめました。
- 質問事項①:廃車証明書とは何ですか?
- 質問事項②:廃車証明書が必要になるケースを具体的に教えてください
- 質問事項③:廃車証明書の発行手順は?
- 質問事項④:廃車証明書は再発行可能でしょうか?
記事の内容を振り返る意味でも、もう一度詳しく解説します。
質問事項①:廃車証明書とは何ですか?
廃車証明書とは、廃車後の自賠責保険や任意保険の解約に必要な書類のことです。しかし、廃車証明書と言っても。1枚の書類しかない訳ではありません。
廃車証明書には、それぞれ異なる役割がある書類が複数あります。
廃車証明書の中でも、それぞれの書類ごとの特徴を把握することで、どんな時に何が必要なのかを理解できます。
質問事項②:廃車証明書が必要になるケースを具体的に教えてください
任意保険の解約は、廃車証明書が手元にない状態でも、手続き可能ですが、任意保険を一時的に中断する場合には、廃車証明書が必要になります。
任意保険の中断が必要となる場合としては、別の車に乗り換えるケースです。新しい車の購入を予定している場合、中断手続きを行うことで、現在の等級を引き継いだ状態で次の車への車両入れ替え手続きが行えます。
質問事項③:廃車証明書の発行手順は?
廃車証明書の発行手順は以下の3つの手続きを順番に進めていきます。
- 登録事項証明書の再発行
- 登録識別情報通知書の再登録
- 検査記録事項等証明書の再発行
質問事項④:廃車証明書は再発行可能でしょうか?
廃車証明書の再発行は可能です。ただし、廃車証明書の種類によって再発行に必要な書類が異なるため注意しましょう。
それぞれの廃車証明書に必要な書類を確認した上で、適切な手続きを進めてください。