【マツダ×スバル】次世代へ進化する2社 走りへのアプローチ

【マツダ×スバル】次世代へ進化する2社 走りへのアプローチ

マツダが発表した新技術、スカイアクティブ ビークル ダイナミクス。エンジン、トランスミッション、シャシー、ボディという4つの「スカイアクティブ技術」を統合制御し、「人馬一体」をさらに高めるというもの。「早い段階で市販車へ投入する」という技術群の第一弾として、「GVC」の試乗会が行われた。一方、スバルは次期インプレッサから採用する新プラットフォームが話題。走りをさらに進化させようという両社の、目指す姿とは。

●文:川島 茂夫 ●写真:奥隅 圭之(スバル)/真弓 悟史(マツダ)

マツダの新技術、〝GVC〞とは何か

MAZDA_SUBARU18_201607ネーミングからトルクベクタリングと混同しそうだが、マツダが発表したGVC(Gベクタリング・コントロール)は制御も思想もまったく異なっている。トルクベクタリングでは左右輪のトルクを不均衡にすることでクルマの進行方向を変えるのが目的。要するにブレーキの片利きでハンドルを取られるのと同じ現象を利用し、操縦性を向上する。横滑り防止装置も基本的な考え方は同じである。

対してGVCは車両に掛かる加速度(G)の繋がりを滑らかにするのが目的である。と言っても何のことだか分かりにくいが、Gの量的な変化が少なく、Gの方向が変わっていく上手なコーナリングを誰にでもできるようにクルマ側の制御で行うシステムである。

ブレーキングで減速Gが立ち上がり、制動力を減らしながら舵角を増加。定常円旋回に入った状態では横Gのみとなり、加速に移行すれば舵角を減少させて、直線に出た時は加速Gのみとなる。これをして「Gを回す」と言うが、このように制御されたコーナリングでは各輪のサスペンションはゆっくりと1回ストロークするだけである。乗員を前後左右に揺すらないので乗り心地が向上し、タイヤの偏摩耗抑制にも繋がる

また、「滑らかコーナリング支援」のもうひとつのポイントが転舵時の前輪への荷重増加である。前輪の接地力を高めて旋回力発生の応答遅れを少なくしている。

この制御を突き詰めればコーナリング速度の向上にもなるが、GVCは限界性能向上狙いのシステムではなく、あくまでも乗員にも優しい「綺麗なコーナリング」の支援が目的である。

具体的な制御は操舵角変化と走行速度に応じてアクセルを閉じる、つまりエンブレを利かせているだけなのだ。しかも、エンブレと言っても減速度はわずか0・05G。これを1000分の5秒単位で制御している。ドライバーには認識できない領域だが、これを可能にしたのはスカイアクティブ・エンジンの応答性のよさ。1爆発毎に燃焼を制御するほどの緻密さがあってこそ、なのだ。

さらに驚かされるのはGVCのための付加ハードウェアがなく、既存メカニズムで構成されている点。最新のスカイアクティブ・エンジン車では制御プログラムの付加だけで済む。開発コストはともかく、部品面でのコストアップはほとんどないだろう。減速にブレーキを用いないので燃費面での悪影響
も無視できるし、システム構成からすれば全車型への展開も可能。走りの心地良さや質感向上の基礎技術として大いに期待される。

 

MAZDAのG -VECTORING CONTROLはエンジンでシャシー性能を向上させる

予想外の効果に驚かされた

普段から転舵直前にアクセルを戻すのが習慣になっている。ほとんど無意識の操作であり、癖と言ってもいい。しかし、この試乗では封印しなければならない。意図的にアクセルを戻さず転舵する運転に少々違和感を覚えたが、同時に予想外の効果に驚かされた。

滑らかな初期回頭のためにはわずかとはいえ減速操作が必要だが、GVCには減速感は皆無。例えば一瞬の駆動力抜けも感じられない。何度試しても同じだ。にも拘わらず操舵初期から綺麗に回り込む。

サスの改良効果なのでは?と疑いたくもなるが、同じクルマでGVC制御をカットすると応答遅れが出る。転舵のタイミングや操舵量を同じように運転すると予想ラインよりやや外側をトレース。アクセルワークを用いずに予想ラインに乗せるには、緩み取りをするように初期操舵量を一瞬大きくする必要があった。再びGVC制御をオンすると、やはり加減速の変化は感じられないのに操舵追従とライントレース性だけが向上しているのだ。ちょっと狐につままれたような気分である。

もうひとつ不思議な気分にさせられたのが砂利道での運転感覚や直進時の操舵感である。砂利道でも舗装路と同じように最小操舵量で応答遅れも少なくラインに乗っていく。雪道も同様だが、滑りやすい路面では応答遅れが増加し、舗装路以上に減速や緩み取りの操舵を必要とする。ところがGVC車はそんな小技を使う必要もなく、ラインをトレースしていく。

さらに興味深いのは操舵感の据わりの向上である。GVC車のほうがわずかに手応えがあり、直進や舵角の維持がしやすいのだ。パワステのアシスト制御が変わっているのかと思ったのだが、パワステの制御そのものはGVCなしと共通とのこと。

この効果については解析中とのことだが、直進時でも路面からのキックバックによる舵角のわずかな変化と、それに対応した無意識下の修正操舵にGVC対応している可能性が高い。つまり前輪のわずかな接地力向上がステアフィールの据わりをよくしているわけだ。

ハンドリング特性が劇的に変化するようなシステムではない。激しい加減速を伴わなくてもアクセルワークと協調させたコーナリングではGVCの効果はあまりなく、サスペンションの能力がハンドリングのほとんどを支配する。もちろん、パワートレーンがそうであるように、このシャシーあってのGVCなのだが、その点では小改善の範疇かもしれない。しかし、誰もが使う領域と遭遇する状況において、安心感を軸とした走りの質感向上にはかなり効果的だ。

MAZDA_SUBARU16_201607

 

SGPは新SUBARU車のすべてを支える主柱となる

当然、インプレッサにはオーバークオリティな程

MAZDA_SUBARU15_201607スバルの次世代戦略の核となるハードウェアにSGP(スバル・グローバル・プラットフォーム)がある。その皮切りモデルとなるのが次期インプレッサである。SGPは多様な車種やハイブリッド、電気自動車も含む多様なパワートレーンに、最小限の設計変更で対応できるのが特徴である。最近、プラットフォーム開発で標準化しつつある「モジュール設計」と同義だが、ハードウェア面で独自性の強いスバル車で、コスト負担を少なくし高性能化を進めるには、強い追い風となるはずだ。

次期インプレッサのフレームを目の当たりにすると、キャビンフロア周りの骨格ががっしりしているが一目瞭然。正に骨太といった感じなのだが、緩やかに連続する曲線で前後を縦貫するフレーム通しなど、応力を効果的に分散させている。余計な補強部材が少ない。骨太かつ無駄の少ない設計だ。また部分的に構造接着剤を用いて軽量高剛性化を図っている。

車格ではレガシィまで、性能面ではEVや高性能モデルまで十二分に賄えるのが前提の設計となれば、インプレッサにはオーバークオリティ気味になって当然である。共用化設計に当たり上級車種を基準にするのは、ユーザーには大きなメリットである。

もうひとつ見逃せないのはSGPが掲げる性能面の目標である。ここのところスバルでは「動的質感」を開発コンセプトのひとつに掲げている。要は走りの質感なのだが、SGPの開発では具体的な要件として「まっすぐ走れる」「不快な振動がない」「快適な乗り心地」を挙げている。どれも目標としては当たり前すぎるが、ふつうのユーザーが長く付き合うためには極めて重要だ。

これを実現するためにシャシー全体を総合的に検証し、緩みあるいは遊びを少なくして低負荷域からサス機構が本来の効果を発揮できる設計を採用。例えばリヤスタビはロール抑制応答遅れの改善と車体の揺れの早期収束を狙い、サブフレームごとリヤサスの動きを規制するために、従来のサブフレームから車体取り付けに変更された。ちなみに社内試験ではリヤスタビの取り付け変更により従来車対比でロール量が半減している。

一般的に高剛性フレームや高応答性サスは、高性能車やスポーツモデルでのアピールポイントだが、それを「まっすぐ走れる」等々の一般的なユーザーのための走りのよさに振り向けているのがSGP、そして次期インプレッサの見所。これらの設計の狙いを見れば動的質感の向上が、安心快適を軸としているのは間違いない。

 

北米仕様車タッチインプレッション 次期インプレッサは真面目である

マニア色を薄めつつ、スバルらしい仕上がりに

MAZDA_SUBARU14_201607次期インプレッサセダンの第一印象は「真面目」である。精悍さを印象付けるフロントマスクなど今風のプレミアム&スポーティを思わせる部分はあるが、後席頭上高を配慮したルーフラインやサイドパネル形状は実用性を配慮したセダンセオリーに則っていた。

昨今の「スポーティ」なワイドボディ化はスタイリングを主目的とし、車体サイズが大きくなっている割に居住性は従来並み、もしくは低下しているクルマも少なくない。クーペ的なルーフラインやリヤピラー傾斜により後席の頭上や側面の圧迫感が強いのも、今や当たり前になりつつある。

キャビンボリュームを抑えて八頭身的プロポーションを狙った結果だが、次期インプレッサにしてもリヤピラーの傾斜は深く、サイドウインドウグラフィックは2+2クーペを思わせる。しかし、曲率の強いリヤウインドウやリヤピラーを後方に配置することで後席頭上分のルーフ高を稼いでいる。

実際に後席に乗り込んでみると天井の圧迫感は少なく、側方視界も外観から想像する以上に開けている。アイポイントは前席よりも若干高めであり、収まりの良いヒップポイントと相まって長時間乗車にも適した着座姿勢を維持しやすい。1775㎜の全幅を活かして肩周りもゆとりがある。くつろぎ優先設計とまでは言わないが、現行インプレッサから一回り大きくなった車体寸法分は確実にキャビンスペースを拡大している。ちなみに大差ない車体寸法のWRX/レヴォーグに対しても同様、新型のほうが拡大している。

同サイズのセダンではリヤドア開口は大きめ。ボリュームのあるサイドシルがちょっと気になったが、着座位置からの足着き性、頭抜け脚さばきともに良好。後席使用頻度の高いユーザーの要求にも十分に応えられる。

トランクスペースはヒンジの張り出しが大きく、また開口サイズに余裕がないものの、深さも奥行きも同級セダン相応。小旅行やゴルフには十分。また、トランクスルーが採用されているので、大物積みにも対応できる。

プロトタイプ、しかも左ハンドル仕様なのでインテリアの質感の評価はしかねるが、細部の造り込みや素材感はプレミアムコンパクト相応。インパネやシートに施された赤いステッチ等によりスポーティ&カジュアルな雰囲気を演出。各種操作系も過度なスポーティ感を抑えているのでデザイン、質感ともに一般性の高い仕上がりだ。

マニア色を薄めながらもスバルの真面目さを感じさせるモデルであり、4WDスポーツに興味がないセダン派にも、現行車以上に魅力的な存在になりそうだ。

MAZDA_SUBARU13_201607

MAZDA × SUBARU ~目指す走り、これからの姿~

安心・安全、だから長く乗れるクルマへ 「当たり前」をさらに極める

MAZDA_SUBARU11_201607ロードスターでは前後輪の荷重バランス等々をドライバー自身が制御して走りを組み上げる、「操る手応え」が前面に出ている。言い方を換えるなら、綺麗に走らせるにはお膳立てや事後修正などの細かな操作を要求する。G V Cが目指しているのはそういった面倒な操作もなく、誰もが上手なドライバーのように綺麗なコーナリングを実現すること。上手いドライバーの技を代行してくれる点では運転支援のひとつと考えてもいい。ロードスターの考え方とは対照的だが、阿吽の呼吸でドライバーを支援するほうが「人馬一体」の理想に近い。マツダ車というとマニアックなイメージが強いが、楽に操れて同乗者も心地良い、そんな当たり前の走りの良さへのこだわりを実感できた。

 

MAZDA_SUBARU12_201607ハイビームアシスト機能なども追加した最新版安全装備の採用、エンジンにはFB型を進化させた直噴仕様の搭載が予想される。SGPの目指した性能も、次期インプレッサの見取りプロト車も、あるいはその他の改良点や採用が予想されるハードウェアも、それらを総合して見えてくるのは「誰にも分かるクルマの良さ」である。とくに注目したいのは走りの質感や安心感といったユーザーにならないと分からない部分の良さ。草の根的な拡がりを除けば販促要因にはならない部分だが、長く使い続けるにはとても重要。使うほどに信頼と愛着が持てる性能や、実用性を第一に考えたスバル。その次のステップを象徴する一車となる予感がヒシヒシと伝わってきた。

 

 

 

 

 

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